店主の想い

喜想菴のはじまり

喜想菴のWEBサイトを訪ねていただき、ありがとうございます。
女将の鈴木美和と申します。

喜想菴は2000年に愛知・稲沢に菴を構え、日本料理・懐石料理をご提供しています。
何事にも愛情深くも口下手な主人の代わりに、私が喜想菴の始まりを少しお話しようと思います。

主人は千葉県生まれの千葉県育ち。
赤坂から名古屋、そして京都「桜田」で板前修業をしておりました。

主人が自分のお店を出すことを決めたとき。

「ここでやる!」と連れていかれたのは、名古屋から離れた稲沢市。
名古屋で開業を目指すのだとばかり思っていた私は大変驚いたのを覚えています。

今でこそ「なぜこの土地でお店を始めたの?」
と聞かれたときには
稲沢への愛情をこめて「ご縁ですね」とお答えしていますが、
開業当初は何も分からない土地で、すべてがマイナスからのスタート。

それが今ではたくさんのお客様に愛していただき、
そしてこの稲沢の土地で長くお店を開いていられることに心から感謝しています。

このお店のすべての空間が
ギャラリーであり、おもてなしである。

掛け花や掛け軸、 季節に寄り添う器遣い 、
何気なくそこにある置物さえも、空間のおもてなし。

店主の強い信念が根付いている喜想菴。
ふと目線をはずした先にうつる光景が
お客様を癒すことができれば、
喜んでもらうことができれば、幸せです。

店主・鈴木衛

当店の料理や器、私が作った花入れなどを見て、「すごくこだわっているんですね」と言っていただけることがあります。でも私は「こだわってやろう」と思っているわけでは、ないのです。

日本料理を作るというのは大変繊細な仕事です。
一つひとつの工程やタイミングが大変細かく、集中をしなければできない仕事です。
どこかで手を抜いたとして、パッと見の出来上がりは変わらないのかもしれない。
でもそれはもう本物の仕事ではない、と私は思います。

私はものづくりが好きです。料理はもちろん、器でも、木工品でも同じ。
どうせ作るなら、「本物」を作りたい。
日本料理の知識がないお客様にも、全身全霊を込めた「本物」か、適当に作った「それっぽいもの」かは、きっとすぐに分かるでしょう。
手を抜いた仕事、自分が納得していないお料理では、お客さまも心から楽しいと思えないはずです。

だから私にとって、料理を作っている瞬間はいつでも真剣勝負。
自分が持っている最大限をぶつけています。
もしかしたらあまり気の利いたことを言ったり、笑顔をお見せすることはできないかもしれません。その分おもてなしは女将にまかせています。

日本料理や茶道、器の世界は、自然や四季を感じることのすばらしさを教えてくれます。
私はこの世界観が大好きです。
みなさまにもそういったすばらしさを味わっていただくとともに、「楽しい」「嬉しい」そういった気持ちになっていただけたら、私たちも嬉しく思います。

週一で楽しんでいる
マウンテンバイクは店主の癒し

店主が自ら焼いた瓦、手作りの大和塀
随所にこだわりが詰まっている庭仕事

女将・鈴木美和

このお店での私の役割は、いわゆる「接客」です。
接客と言っても、ただただお料理をお出ししたり、お会計をしたり、ということだけではありません。
店主・鈴木衛の仕事を皆さんにお伝えすること。
そして当店で過ごした時間を通して「喜びを想って」いただけるよう、おもてなしを尽くすこと。
それが私の本当の役割だと自負しています。

手前味噌ではありますが、当店のお料理は細部まで…本当に細かなところまで、こだわり尽くした上で作られています。
日本料理のルールに基づき、四季を重んじるメニューや器を選定し、旬の食材を一番おいしく召し上がっていただける方法を模索する。

厨房でどんな苦労があるのか。それは直接はお客さまには関係ないかもしれません。
でも徹底した仕事ぶりは必ず、料理の味に、お客様の満足感に反映します。

店主の仕事をいちばんベストな方法で、ベストなタイミングで楽しんでいただくには?
お客様に「喜想菴でよかった」と満足していただくには?
いつでも自分に問いかけながら、信念をもってお客様をお迎えしています。

そして忘れてはならない私のこだわりは、日本酒です。
地元のお酒にとどまらず、全国からお取り寄せもしています。
日本酒に対して並々ならぬ愛情を持っている私のセレクトはマニアックかもしれません。
それでも喜んでくださるお客様のために、さらにお料理が美味しく楽しめる日本酒をご用意したり、お料理に合わせたペアリングもしておりますのでお気軽にお声掛けください。

このお店の自慢。それは「記念日にご来店いただくお客さまが多いこと」。
お食い初め、お誕生日、長寿のお祝い。
特別な時間を過ごす場所として喜想菴を選んでいただけることは、本当に感謝でしかありません。

「大切な人と、大切な日に行きたいお店」
これからもそう想っていただけるよう、精進してまいります。

女将のこだわり梅仕事

季節の花に想いを馳せる

鈴木宗磨

店主の長男であり、小学生の頃からお店の手伝いをしておりました。
調理師学校卒業後は東京の老舗料亭である金田中で修業後、喜想菴の厨房を店主と共に担っております。
喜想菴の漬物は宗磨の手作り。店主に似て口下手ですが、こだわりが強く、信念を貫く姿は職人そのもの。 無添加にこだわり、丹精込めてお作りしています。